2006年ヨーロッパ大オープン第一節


※ 本記事はCQ ham radio 2006年9月号に掲載された記事に7月11日以降の入感・QSO実績を加筆したものです。

2006年初夏 50MHz 北米・ヨーロッパオープン記 第一節

はじめに

サイクルボトムといわれている今年2006年の初夏、50MHz帯では例年QSO実績のある伝播でWやEUがオープンしました。
このオープンの主な特徴は下記の通りです。

  • 概ね5月中旬から夏至をはさんで7月中旬に発生する。
  • オープンする地域は日本から見ると北米大陸の主に西側及び、ヨーロッパ東部・中央アジアなどで、北半球の地域に限定される。
  • ビーム方向は各々ほぼダイレクトである。
  • 信号強度はまれに強力なこともあるが、ほとんどが弱いものである。
  • 日本側、相手国側ともスポット的にオープンし、長時間同じ地域が聞えることはまれである。
  • オープンする頻度が低い。

ところが今年はオープンの頻度・回数が例年とは比較にならないほど多く、
その上オープンする地域も北米東部やスペイン、イギリスなどヨーロッパ西部もオープンするなど
上記特徴に縛られない大々的なものでした。
私は運良くそのFBなオープンのほとんどに巡り会うことができましたのでその様子を振り返りました。

ここでは伝播ルートや要因など電波伝播の諸説に言及せず、
QSOできた、あるいはQSOに至らないまでも聞くことができた信号などについてそのときの状況を日記調に記しました。
表示日時は日本時間(JST)です。

WとEUのオープン日記

※ 日付のしたのデータは筆者のQSO実績(左から日本時間、コールサイン、RST (his/my)、周波数(MHz)、モード(記載の無いのはCW))

2006年5月19日(金)

  • 16:10J UN8GC 599/599 50110.0
QSL-UN8GC

QSL-UN8GC

16時ごろ今年初めてと思われる中央アジアカザフスタンのUN8GCが入感しました。
最初のオープンはいつなのか予測のできない状況ですので、 この日のUN8GCは信号が強力でしたが呼ぶJA局もまばらでした。
私は昨年何度かのチャンスを逃していましたがあっけなくQSOできました。
一方同時間帯に北海道のJL8GFB局のところではウクライナのUT5EUがCQに応答してきたとのことで、
昨年は5月29日に5B4や9Hなどが初めてオープンしましたので、それより幾分早いJA-EUのオープンとなりました。

2006年5月20日(土)

  • 22:01J UN7QX 559/559 50106.0

前日のUN8GCに続き今日はUN7QXが入感しました。2日連続でDXが聞えることは無いだろうと勝手に思っていた私が気付いたのは22時でした。
前日のUN8GCとは時間帯も違い、20時ごろから延々2時間半以上1エリアでは入感し続けてました。
同時に聞えてくるバズ音も途切れなく強力に入感し、いよいよEsシーズン本番を感じさせるものでした。

2006年5月24日(水)

  • 16:57J OH7PI 599/599 50110.0

こうなると何時どこが聞えるか分からない状況ですので時間さえあればワッチしていました。
この日は17時少し前にOH7PIの深いQSBを伴ったゆっくりとしたCWが入り、QSOすることができました。
残念ながら1エリアの多くの地域で激しい雷雨のためこの日は途中でワッチを中止しました。

2006年5月26日(金)

  • 15:14J NL7Z 599/599 50115.0
  • 16:04J NL7Z 59/59 50115.0 SSB

15時ごろアラスカのNL7ZがCWで聞こえてきました。
聞える前にWのチャットでNL7Z本人から「アジア方向のビデオ信号(49.750MHzなど)が強力だが、
私の信号が50.115で確認できるか」との問いがあり、聞いてみたところすでに強力な信号でした。
その後SSBにモードが変わりましたがそのときは59+20dBという非常に強力な信号でした。
チャットに一緒に居たVE7の局もJA向けでCQを出しましたがこちらは入感しませんでした。
北米のオープンはパイロットとなる信号波が50MHz近辺になく、
オープンに気付くにはビーコンか或いは実際にQRVしている局が聞えることが必要です。

2006年5月29日(月)

  • 14:33J NL7Z 599/599 50110.0
  • 14:47J VE7DAY 599/559 50107.0
  • 14:56J VE7DAY 59/57 50107.0 SSB
  • 15:04J K7CW 559/559 50096.0
  • 15:14J KE7V 579/579 50127.0
  • 15:26J W7FI 559/559 50099.0
  • 15:59J KL7NO 59/59 50130.0 SSB

この日は14時すぎに50MHzのクラスターにNL7Zの文字を見つけ、良好に聞えるNL7Zをコールしました。
その後私もCQを出していたところVE7DAYが私のCQが聞えている旨クラスターにスポットしてくれました。
14時半過ぎにはNL7Zは59+20dBを上回るまで強力になりCW時にはコツコツという音が邪魔なほどでした。
決して強力ではありませんでしたがVE7DAY、K7CW、KE7V、W7FI、KL7NOともQSOでき、
14時ごろから16時半ごろまで延々2時間オープンしていました。

チャットで知り合ったKE7V Johnnyさんとは去年・一昨年と、
何度もこの時期のQSOにトライして、
この日初めて2wayQSOに至りましたので、少々感慨深いものがありました。
ところで私のアンテナは昨年2005年9月にWSJTによる50MHzEMEを行うために仰角ローテーターを取付けたのですが、
この日KL、VE、WとのQSOではあえて仰角を変化させて入感の状況が変わるのかを試みました。
その結果、仰角により信号強度やQSOの邪魔になるバズの変化を体感することができました。
この日最も信号強度が強かったのは仰角を10~12度とかなり上に向けたときでした。
同時にバズも弱くなり弱いWの信号が浮き上がって聞えるように感じました。

2006年5月30日(火)

  • 07:53J NL7OW 59/59 50125.0 SSB
  • 07:59J KL7CDG 59/59 50105.0 SSB
  • 08:18J KL1SF 59/54 50127.0 SSB
  • 08:25J KL8DX 599/559 50107.0

この日は朝8時前からアラスカが強力に入感しました。朝食もそこそこにRIGのスイッチを入れるといきなりNL7OW、KL7CDG、KL1SF、KL8DXなどがSSB・CWで強力に入っていて驚きました。また今年NL7Zが設置した50063.3のビーコンNL7Z/B、さらに50065.3のビーコンKL7/KG0VL/B の 両ビーコンも初めて良好な信号で聞くことができました。残念ながら同時間帯にVE、Wの局は聞くことが出来ませんでしたがチャットを見ている限り W6、W7の局がJA・アジア方向へCQを連発していたようです。

2006年6月5日(月)

  • 07:44J WQ5W 599/599 50110.7 TX
  • 07:47J WG5B 559/559 50099.0 OK
  • 07:51J KY5N 559/559 50099.0 TX
  • 07:54J N5AU 559/559 50099.0 TX
  • 07:58J N5JEH 559/559 50099.0 NM
  • 08:04J W5UN 559/579 50099.0 TX
  • 08:06J NI5M 559/559 50099.0 TX
  • 08:09J K5SW 559/549 50099.0 OK
  • 08:11J K5XX 559/559 50099.0 TX
  • 08:47J W7CNK 559/559 50099.0 OK
  • 08:49J K5SW 559/559 50099.0 OK
  • 08:50J KB0HH 599/579 50099.0 KS
  • 08:55J N8CJK 559/559 50099.0 MI
  • 08:59J KM0A 449/449 50099.0 MO
  • 09:06J W5UN 559/519 50099.0 TX
  • 09:19J KA9CFD 599/599 50099.0 IL
  • 09:39J W5OZI 579/559 50094.0 TX
  • 09:51J N4BAA 449/519 50092.0 VA
  • 10:18J WD5K 559/559 50106.5 TX
  • 10:21J W5LUA 559/559 50106.5 TX
  • 10:55J K0GU 579/559 50092.0 CO
  • 11:00J W6OAL 559/559 50092.0 CO
  • 11:02J W3UUM(/5) 559/559 50092.0 TX

※末尾は州名略称

QSL-N4BAA

QSL-N4BAA

朝パソコンを立ち上げてクラスターを見ると、
既にNL7Zのコールが踊っています。 RIGのスイッチを入れると北方向からのバズが非常に強力でした。そんな中VE7SLなどのCWも聞えます。
その後7時半を回ったばかりだというのにWQ5Wがスポットされ、半信半疑その周波数を聞くとなんと599で聞えています。
WQ5WとのQSO後、落ち着いてRIGのメインノブを回し、聞えるWの局のコールと周波数をメモしていきました。
ところが10局ほどメモして5分後くらいに最初の周波数へ戻ると、もうそこには誰もいません。
非常にスポット的かつ短時間で聞こえる場所が移動しているコンディションのようでした。

それならば自らCQを出してみよう、ということでCQを出し始めるとポツポツとW5の局が呼んできます。
結局23局とQSOすることができました。この3時間近くに及ぶオープンではどの局もQSBが深くてその周期も長く、コールがなかなか取れないでいました。
サイクルボトムでありながらW5さらにはW4まで聞こえるとは思いもよりませんでした。
上記の交信記録を見ていただくと分かるようにかなり広範囲にわたって交信できています。
もちろん上記の局が同時に聞えていたのではなく、転々とエリアが移動して聞えてきたものです。

このオープンで新潟県のJH0RNN局はフロリダ州のN4SI局に呼ばれQSOに成功しました。
その直後Wのチャットではこの2局間の距離がこの伝播(いわゆるEsマルチホップ)による世界最長ではないかと盛り上がっていました。
グリッドロケータを元に計算すると11,822kmになるとのことです。
さらにチャットではW1、W3でもJAの信号が確認できていると言うことも話題になっていました。
このオープンでも私のアンテナの仰角ローテーターの目盛は12度と、かなり上方に向いた状態でした。

2006年6月6日(火)

QSL-N9LAG

QSL-N9LAG

  • 07:49J KL7IKV 559/559 50110.0 AK
  • 08:20J KY5R 559/559 50097.0 AL
  • 08:50J KM0A 559/579 50092 .0 MO
  • 09:02J W5ZN 599/559 50095.6 AR
  • 09:14J K1MOD 599/599 50110.0 IL
  • 09:33J K4XR 559/559 50092.0 AL
  • 09:38J N9LAG 559/559 50092.0 IL
  • 09:41J K5UR 599/559 50099.0 AR
  • 09:49J W0VD 599/599 50094.0 MO
  • 09:52J K1MOD 599/599 50091.0 IL
  • 09:55J K0GU 559/559 50084.0 CO
  • 10:14J W5KI 559/559 50092.0 AR
  • 10:30J WA0KBZ 559/559 50092.0 MO
  • 10:36J AG4V 559/559 50092.0 TN

※末尾は州名略称

前日の興奮も冷めやらぬ次の日、2匹目のドジョウはなかなかいないといわれる6mですが、またしてもオープンしました。
KLから聞こえ出したのは前日と同じですが、その後は一気にW5のオープンになり、
午前中は昨日の大オープンを知った大勢の6mDXerがあちこちで大きなパイルを繰り広げていました。
私も昨日同様興奮状態です。アンテナの仰角は前日と同じ12度くらいです。
ビーム方向も前日同様ダイレクトに北米に向いています。
昨日同様CQを出すと一斉に呼んでくるのではなく、やはりポツポツと呼んできます。
QSBが深い状況も同じでした。CQを出したり、探して呼んだりで14局のQSOができました。

QSL-W0VD

QSL-W0VD

前日に比べると、JAでも西のエリアからのコールがバックスキャッターで聞こえていました。
またWの聞こえた地域は前日よりやや東寄り(東海岸に近い側)の感じがします。
この日も11時頃までオープンが続いていました。ただ昨日強力だったWQ5Wがチャットで 「私の信号が聞こえるか」と言われ、
必死で聞きましたが全く聞こえないと言う状況でした。
W側でも地域差があったことがうかがえます。 もちろん昨日今日両方聞こえていた局も多数ありました。
この日、昼過ぎにはNL7Zが再び59+で入っていました。

2006年6月7日(水)

この日は前日とはうって変わって、朝方の北米は全く聞こえませんでした。
そのかわりに16時半ごろ7エリアや1エリア東部でIT9RZR、UT5EUなどが入感したということです。
コールするJAやクラスターなどでオープンしていることは気付きましたが、
私のところでは相手の信号のカケラも聞こえませんでした。極めてスポット的オープンであることを感じました。

2006年6月8日(木)

  • 15:20J 5B4FL 599/559 50105.0
  • 15:34J SV1DH 599/519 50113.0

この日は15時過ぎからEU方面が聞こえ出しました。何時にも増してバズが強く、
ワッチするのも辛いくらいです。そんな中でSV1DH、5B4FLとQSOできました。両局ともバズをはるかに上回る599+での入感でした。
その後50MHz帯が解禁されて間もないHAハンガリーの局が西日本で聞こえ出したようです。
この日JAで入感が確認できたのはHA3MQだけですが、このHA3MQとJA6LLA局がQSOでき、
JA-HAの1stエバーとなりました。その他にもJH4ADV局など数局のJAがQSOに成功しています。

2006年6月9日(金)

  • 14:30J UR5EU 599/599 50101.0
  • 14:35J UT5EU 559/559 50097.0
  • 15:35J UY5HF 599/559 50098.3
  • 15:58J YO7VS 449/559 50083.0
  • 16:12J YO5BIM 449/559 50083.0
  • 16:35J UN6P 599/559 50104.0
  • 16:46J 9A2DS 559/559 50087.2
QSL-9A2DS

QSL-9A2DS

この日は14時過ぎに5B4FLがクラスターにJAからスポットされ、
聞けば599と、 非常に強力に入感していました。その後17時近くまでEUのあちこちが聞こえていました。
昨日同様西日本中心でオープンしていたようで、指をくわえてクラスタを見てる感じでした。 それでも私も上記の通りQSOできました。
アンテナの仰角は8度、水平ではSが落ちるし、12度くらいまで上げると信号も強いようでしたがバズも強くなり8度程度でQRVしていました。
その他にもIK0FTA、9A6R、IT9RZR、UT4UO、UN7PBYなども聞くことができました。
またHA3GRが私の信号が聞えるというスポットをしてくれましたがQSOはできませんでした。
バズに隠れたEUの弱い信号を何時間も受信するのは辛く、ノイズがCWに聞こえるような感じになってしまいました。

2006年6月10日(土)

QSL-LZ1BK

QSL-LZ1BK

  • 13:56J UT3IZ 599/599 50086.9
  • 14:13J UY5HF 599/599 50101.0
  • 14:15J UT7QF 599/599 50085.0
  • 14:37J 4L8A 559/559 50101.9
  • 14:58J LZ1BK 559/559 50101.7
  • 15:28J UT5PI 449/449 50102.0
  • 15:54J UT7GA 559/559 50107.9

この日は14時に早くもUY5ONが599で入りだしました。 クラスターには次々とEUsがスポットされていきます。
昨日のオープンと、この日が土曜日であることで多くのパイルがあちこちで起きていました。
このオープンはクラスターを見る限り1、2エリア中心ではないかと思われる様相でした。
バズも昨日よりさらに強力でしたがEUからの信号も強力だったよう感じます。アンテナは仰角10度でQSOをしました。

2006年6月11日(日)

  • 16:20J ON4IQ 599/559 50085.0
  • 16:40J PA4PA 559/519 50080.5
  • 17:50J YU1EU 559/559 50100.0
QSL-YU1EU

QSL-YU1EU

この日は15時半頃IK0FTAが入感するところからオープンは始まりました。
その直後にチャットでON4IQがJA7が聞こえると言ってQRVを開始しました。
ON4IQのQRVすると言った周波数を聞くと579程度で聞えており、簡単にQSOできました。
その直後PA4PAのCQDXが聞えてきてQSBは深かったものの何度もコールしてQSOできています。
両局ともパイルが大きくなりません。やはりスポット的にオープンしているようです。PA4PAからはチャットでAmazing!といわれました。

その後もEUの局が多数入っていました。前日より西側のヨーロッパ諸国が多く聞こえていたように感じます。
17時頃にはバンド中バズでいっぱいになり、今日は終わりかと思っていましたが、
まだEUからJAを次々とクラスターにスポットするので、自らCQDXを出していたところYU1EUに呼ばれました。
その後も19時をまわってもEUが入り続けていました。
またEUオープンの同時間帯の夕刻にはNL7Zも強力に50115.0で入っていました。
140局程度JAとQSOしたそうです。 EUとアラスカの同時オープンというのも珍しいことだろうと思います。
この日は他にLY、HA、EA、9A、OZが聞こえたようです。
私のアンテナはこの日も仰角10度でQRVしていました。
仰角を下げるとバズが目立って強力になるのがわかりました。