CL6DXZと214A

50MHzのアンテナシミュレーション


2003年に復活したときにクリエイトデザイン社のCL6DXZという8ELE八木を26mの高さに上げて使用していました。4mほど下にはHF用の同じくクリエイトデザイン社の214Aというアンテナがあがっています。相互にビームパターンやゲインで影響しあっているとは思っていますがそのまま使っていました。その後2005年9月に6mのアンテナをCL610Aという10ELE八木に変更しました。

クリエイトデザイン社CL6DXZ 50MHz8ELEとCL610A 50MHz10ELE

クリエイトデザイン社の50MHz用8ELE八木は、昔からある比較的ポピュラーなアンテナです。ただ10年位前にラジエータがフォールテッドダイポールに変更されて、帯域を広くする改良が加えられたようです。ブーム長は9.3mあります。実家にいた頃、ルーフタワーではありますが、同社のCL6DXX(7ELE八木)、ナガラのSS96(9ELE八木)、LUSOの6ELE八木、及びそれを改造したブーム長8.5m程度の7ELE八木などを使用してきましたが、それらに比べて、程よく、外観、性能ともバランスが取れたアンテナという感じです。ブームステーも不要なので、マストトップに取り付けられます。

2004年のアンテナ

2004年のアンテナ

近接したアンテナ(HFのアンテナ)はありますが、実際に使っていてもビームパターンの乱れはさほど感じず、鋭すぎないビームパターンもワッチにはありがたいところです。サイクル23のピークもとっくに過ぎた頃に、6mでKH6、CE0Y、3B9、LUなどと200Wでパイルに参加してQSOでき、耳が極端に悪いとも感じませんでした。しいて言えば、地上高のせいもあるかもしれませんが国内のEsでは垂直方向ビームパターンのメインローブとセカンドローブの間ぐらいがbetterなのか、人より先に聞こえなくなる、というのを何度か経験しました。

その後50MHzでEMEを始めてみたいという思いもあり、10ELEに変更し、仰角ローターも追加しました。

VSWRを測定しました

CL6DXZですがVSWRの特性は下の通り(バード43型メータで進行波と反射波を測定して計算した値のグラフです)で、かなり広範囲で低VSWRですので、比較的気兼ねなく高い周波数までオンエアできます。進行波Pf(W)と反射波Pr(W)がわかれば次の式でVSWRが計算できます。

進行波と反射波からVSWRを求める式

CL6DXZのVSWR

CL6DXZのVSWR

良く使う50.300以下は概ね1.1以下ですので良好です。50.550近辺で1.2まで上昇している理由はわかりません。アンテナは組み立てっぱなしで無調整、アンテナチューナーなるものも入れてませんので、本当に良く出来たアンテナだと思います。

シミュレーション結果

2005年9月にCL6DXZ(8ELE)からCL610A(10ELE)にアンテナを変更しました。MMANAというアンテナのシミュレーションソフトを使用してCL6DXZとCL610Aのパターンやゲインを調べてみました。CL6DXZのブーム長は9180mmです。(リフレクタから第6ディレクタまでの距離)、CL610Aのブーム長は1300mmです。(リフレクタから第8ディレクタまでの距離)シミュレーションにあたっては給電部がフォールデットダイポールであることとVSWRは無視してます。

※ 各アンテナのエレメント長とエレメント間隔についてはクリエイトデザイン社のノウハウであり、ページから削除いたしました。

(1) 地上高による違い

まず地上高を変えた場合のビームパターンです。地上高が高いほうが垂直方向のパターンはヌル点はたくさんできますが仰角は低くなります。Eスポは地上高が低いほうが良いとよく言われますが、シミュレーションの結果だけ見ると地上高が高くてもセカンド、サードあるいはそれ以上のローブも大きなゲイン低下もなくでていますので、それほど影響は無いような気がします。

【CL6DXZ:10mH】

CL6DXZ:10mH

CL6DXZ:10mH

【CL610A:10mH】

CL610A:10mH

CL610A:10mH

【CL6DXZ:15mH】

CL6DXZ:15mH

CL6DXZ:15mH

【CL610A:15mH】

CL610A:15mH

CL610A:15mH

【CL6DXZ:20mH】

CL6DXZ:20mH

CL6DXZ:20mH

【CL610A:20mH】

CL610A:20mH

CL610A:20mH

【CL6DXZ:26mH】

CL6DXZ:26mH

CL6DXZ:26mH

【CL610A:26mH】

CL610A:26mH

CL610A:26mH

おまけでCL610Aを40mHにするとどうなるかが下のパターンです。仰角2.1°…さすがです。

CL610A:40mH

CL610A:40mH

以上のようにCL6DXZとCL610Aはエレメントの本数が2本違いますので当然フロントゲインはCL610Aのほうが1dBほど高いのですが、エレメントの配置(間隔)のためでしょうか、F/B比はCL6DXZのほうが優れています。フロントゲインとバックゲインの比ですから当然ですが、使う側からすればCL610Aのほうがバック方向は筒抜けということです。この位のエレメント数になると上の結果からも分かるとおり仰角に違いは見られません。いわゆる打上げ角に影響する要素は地上高だけです。顕著ではありませんがエレメントが多いCL610Aのほうが第2以降のローブのゲインは下がっています。つまり上方からの電波を捉えにくいということになります。ローブが細かく分かれるのは地面誘電率と地上高の影響ではないかと思われます。

(2) 仰角を変えた場合

次に仰角を変えた場合です。これはCL6DXZの場合だけです。ブームのセンターが地上高26mになるようにしてシミュレーションしています。仰角操作の機能がMMANAにはありませんでしたのでZ軸に自分で仰角をつけた場合のエレメントの位置を入れて計算させたものです。仰角を変えた場合のアンテナ形状は30度では下図になります。

CL6DXZ仰角30度のイメージモデル

CL6DXZ仰角30度モデル

結果は次の通りで上は仰角30度下が仰角60度です。

CL6DXZ 26mH 仰角30度シミュレーション

CL6DXZ 26mH 仰角30度シミュレーション

CL6DXZ 26mH 仰角60度シミュレーション

CL6DXZ 26mH 仰角60度シミュレーション

以上のように仰角をつけるとそれっぽい垂直パターンですが、つかみにくい形をしています。数値を見るとわかるとおり、物理的な角度と最も
ゲインの有る角度、つまり仰角が違います。また仰角をつけているにもかかわらず、低い角度のローブが残っています。

(3) スタックにした場合

次はスタックにした場合です。これもCL6DXZの場合だけです。上下2枚のスタックでスタック間隔を変えてみました。上からスタック間隔3m(0.5λ)、4.5m(0.75λ)、6m(1.0λ)です。仰角に大きな違いは見られませんが利得の違いが出ています。またセカンドローブのゲインはシングルのときより1dB程度の低下ですが、サードローブあるいはそれ以上は顕著にゲインが低下しているのがわかります。つまりスタック間隔を広げると、上方向に対してのゲインが下がるということです。

CL6DXZ 2枚 26mH 間隔3m

CL6DXZ 2枚 26mH 間隔3m

CL6DXZ 2枚 26mH 間隔4.5m

CL6DXZ 2枚 26mH 間隔4.5m

CL6DXZ 2枚 26mH 間隔6m

CL6DXZ 2枚 26mH 間隔6m

最後に夢の2×2のCL6DXZもシミュレーションしてみました。上下間隔は1λ(6m)、左右のブーム間隔は1.1λ(6.6m)です。ここまで来るとアンテナの受風面積やローテータやタワー、マストにかかる力も大きく、実現は大変難しいものになるのだろうと推測します。でも下のパターンやゲインを見ると、チャンスがあれば試してみたいアンテナです。

CL6DXZ 2パラ2段

CL6DXZ 2パラ2段モデル

CL6DXZ 2パラ2段の結果

CL6DXZ 2パラ2段の結果

まとめ

アンテナは電波を輻射し、また電波を捉えるアマチュア無線を楽しむには大変大事な要素です。自分に与えられた環境で可能な限り満足いくアンテナを構えてみたいものですが、近所の目やメンテナンスの問題、自然現象に対する物理的な強度などをクリアすることも大事だと思います。

また上記のシミュレーションは既成のアンテナをシミュレーションしたものですが、MMANAというソフトは最適化の機能も持っていますので、長いブームに闇雲にエレメントを並べてVSWRを調整しただけのアンテナを使うよりは、最適化の機能を駆使してパターンを綺麗にすることに重点を置いたり、フロントゲインに重点を置く最適化を図ってアンテナ自作をするのも面白そうです。

仰角を変えた場合の垂直方向のローブについては疑問もありますが、地上高は高く、スタック間隔は広く、と一般に言われている意味が良くわかりました。MMANAというソフトはフリーソフトですが大変良く出来たソフトで、モーメント法といわれる方式で計算しているものです。シミュレーションで得られた結果がそのまま現実化することは無いのですが、誤差の少ないシミュレーションが可能なソフトだと思います。自分のロケーションを客観的に知っておくことも大事ですが、アンテナや同軸などの設備についても客観的に(実測でなくても良い)調べて知っておくと、設備を変更するときに役に立つと思います。今後も自作や既製品のアンテナを上げる機会があれば、ぜひまたシミュレーションしようと思います。

また、今回のシミュレーションをするにあたり、アンテナの寸法等貴重なデータを提供いただいたクリエイトデザイン社様にこの場を借りて御礼申し上げます。

参考文献・参考サイト

  • クリエートデザイン社CL6DXZ取扱説明書
  • クリエートデザイン社CL610取扱説明書
  • JA1KAW局サイトの「スタック効果とミラクル伝播」

履歴

  • 2005/08/01 ページ作成
  • 2005/08/04 CL6DXZのパターンをgifからjpegに変更して絵を小さくしました
  • 2005/08/08 2×2のCL6DXZのパターンも追加
  • 2006/03/12 CL610Aのパターンを追加